from Japan

美容を味方に、目指すは100歳!

兵庫真帆子 小学館 女性メディア局チーフプロデューサー

▼Profile

兵庫真帆子 MAHOKO HYOGO

立教大学文学部教育学科卒業後、株式会社小学館に入社。『CanCam』『プチセブン』『Domani』の美容担当を経て、2007年『CanCam』編集長、2009年『美的』編集長を歴任。2016年より女性メディア局チーフプロデューサーに就任し、『美的』『美的GRAND』『Oggi』『Domani』の発行人として、雑誌ブランドビジネスに取り組んでいる。

美容は女性をワクワクさせるもの

吉川康雄 兵庫さんは、小学館で長い間美容に関わってお仕事なさっていますよね。

兵庫真帆子 去年で勤続30年になりました。入社2年目でCanCamの美容担当になって、その頃に“奇跡の63歳”の天野佳代子さんがライターとして携わっていらしたので、彼女に出会い、教わりながら誌面を作っていたんです。天野さんたちが作る美容ページが人気になって、美容に対する読者のニーズも高まって、満を辞して『美的』が創刊されたのが2001年。4年前に『美的』の編集長を離れて、いまは発行人という立場です。

吉川 『美的』のような美容の専門誌は、日本ではそれまでになかったジャンルでしたよね。その前の美容はずっとファッション誌の中の一部という感じでしたからなかなか深掘りができなかったように思います。そこに美的で女性たちの興味が刺激されて、うわーっ!と広がったんじゃないでしょうか?

兵庫 確かにそうかもしれません。『美的』では、“美容”を大上段に構えて教えるのではなく、読者のモチベーションを上げて、真似してみたい!と思ってもらえるような誌面作りを心がけていました。美容ってワクワクするものなので、女性の心をときめかせるような発信をしていきたいなと。

吉川 ところで、今日は僕がメイクさせてもらいましたが、兵庫さんのお肌、すごくきれいでした。

兵庫 ありがとうございます。決して自慢出来るものではないですが……(笑)。常に気にかけていたいなあとは思っています。美容の仕事を30年近くやっていても、まだわからないことはたくさんありますし、今も色々な人のお話を聞いて「そうなんだ!」と思ったらすぐに試してみたり。天野佳代子さんの美容法も真似しています。

吉川 兵庫さんみたいに色んな経験や知識を積んできても、そういうことに対する気持ちってピュアなんですね。特にここ10年、15年は、美容の考えが変わってきたなあって思いますし、そういう気持ちって大切だなって感じます。
兵庫 私はバブル期に大学生だったのですが、当時はファンデーションを重ねづけしていました。今とは全然違う作られた感じの仕上がりで、ベースメイクに対する考え方もだいぶ変わったんだなあって思います。

吉川 何かを目指して塗りつぶすんじゃなくって、その人の素材を大切にするってことなのかなあ。
メッセージも今までは、画一的にこうしましょうと伝えてきたのが、どんどん女性本位になって、個人の違いがもっと大切にされてきている感じとつながっていますよね。そのほうがもっと楽しめるし、自分の気持ちに寄り添って上げてくれる美容に向かっていると思います。 

兵庫 このunmixloveには、それがとても出ていますね。人それぞれなんだなと思います。

今は大きな変化のとき

兵庫 『美的』の編集長を離れて4年経ちますが、女性たちも現実に変化しているのを強く感じます。ちょっと前のヌーディとか、すっぴん風とかでさえ、ひとつの流行に向かっていた感がありましたが、今はトレンドがありつつも、その中で自分は何を選べばいいのかを知りたがっている。

吉川 あくまでも自分らしさをベースに、というのが、ここ数年で一番変わったのかな。

兵庫 編集長をしていた時に東日本大震災が起こって、その後にナチュラルとかヌーディに一気にシフトしましたけど、今回のコロナの影響で、また何かあるのかな?と思います。

吉川 僕の場合はNYに住んでいたので、2001年の9.11も大きな転機でした。ショッキングな出来事は必ずターニングポイントになりますよね。

兵庫 “SDGs”とか“クリーンビューティ”とか、コロナ以前から日本でも耳にするようになりましたが、そういうのがもっと浸透していくのか、違う流れになるのか、見ていきたいです。

吉川 コロナの不安や生活習慣の変化によるストレスがその先に影響を与えるとしたら、色んな流れの底にポジティブにさせてくれるメッセージを求めますよね。そういう意味でのクリーンビューティの形になっていくのではないでしょうか。

兵庫 単にいらないものを捨てていく透明性と安心感だけではなくて、プラス躍動感ということですね。

吉川 コロナはそれまでとこれからの自分を考えることにも繋がったと思うのです。その上でその変化をどう受け止めるか?だと思うから、やっぱり最終的には“自分らしさ”がテーマなのかなって思います。

兵庫 自分らしさって、一番難しいですね。人には言えるんですけど、自分のこととなると難しい(苦笑)。

年齢を重ねることをポジティブに捉えたい

兵庫 女性って元気ですよね。私も元気でいる間は仕事をしていたいし、100歳までは絶対に生きたくて。去年亡くなった義理の祖母が、108歳だったんです。100歳から徐々に家にこもるようにはなりましたが、それまではすごく元気でエネルギーがあって。私の娘であるひ孫をすごく可愛がって、「東京に行って入学式を見たいから元気でいなきゃ」とか。そういうおばあちゃんだからしっかり食べて、肌もハリがあって、顔色もくすんでない。やっぱり気力と美容と健康は関係がある。

吉川 そういう風に長生きする方って、生きようとするから生きられるんですよね。僕のお母さんも一生懸命生きようとしてたから分かるなあ。

兵庫 100歳まで生きると話すと、人によっては不快に思われる方もいます。人生観や色々なものが絡まってくるので、このテーマは非常に複雑だなと。
私は108歳の祖母の実例を見てきましたが、自分が年をとって、老けていくのがうんざりという方は、ご自身の身近なところで色々なケースを見ていて……。でも、世の中全体の方向として、年齢を重ねることをネガティブに捉えないようになれるといいですね。

吉川 年を取ることが嫌だというスパイラルに入ると、世代を超えて“嫌だ”が受け継がれちゃうから、少しずつポジティブなスパイラルに持っていきたいですよね。

兵庫 長生きと言われるとちょっと嫌だなという意見は、70歳、80歳 になったら、そんなにときめかないし、楽しいことも減って、やれることも少なくなるのが辛いということみたいです。もちろん、その年齢にならないとわからないこともあるけれど、いくつになっても、その年齢なりに楽しいことがあるのではないかと思うのですが……。

吉川 確かに年をとると、昔のような楽しみ方はできなくなるけれど、違う楽しみや良さもあるっていうことをもっと話せるようにならないとね。
僕の場合は、40代で視力も落ちてきて……。前よりも正確なメイクができなくなったとき、最初はすごく嫌で落ち込んだ。でも今は、以前はできなかったことができるようになったことに気がつきました。

兵庫 それから、物事をもう少し穏やかに見られるようになりますよね。私ももう、昔のようにバリバリ校了作業はできないし、文字を追うのも時間かかると思いますが、以前よりも穏やかな気持ちで、物事を俯瞰して見られるようになりました。全体像がクリア、違う視点で見られるというのはあります。

吉川 年齢を受け止めて、幸せに素敵に生きるというメッセージを発信していくのも、僕たちのミッションですよね。
一休さんのとんち話ではないけれど、どんどん変わっていく自分の姿に美を見つけ出していけるかどうか。みんなが、自分自身の研究家になって欲しい。

兵庫 飾り立てるだけのメイクとか、美人という一つの美のかたちをいつまでも追いかけることだけではないと思います。天野佳代子さんとも、よくそういう話をしますね。年を重ねることを否定的にしたくない方だから、そういう天野さんの影響も大きい。彼女のように、63歳という年齢で輝いていられるのって大切だなと、見ていて思います。

吉川 一生懸命生きて来て、ふと隣を見たら、違う生き方をしている人もまた違ったふうに輝いているという世の中は素敵ですよね。
人間なら誰でも生まれ持った姿に悩むと思うけれど、もう一つ、変化していく自分にも悩みますよね。この2つが美容では別のジャンルにされますが、本当はアイデンティティという同じものなのでは?
今日の自分をいかに好きになれるか。生まれ持ったものと変化していく部分を一緒に研究して、好きになっていくのが美容なのかなって。

兵庫 確かに! どちらも嫌だと思っていると、どんどん辛くなりますよね。

吉川 両方ともハードル高いし(笑)。

兵庫 どんなにキレイなモデルさんでも女優さんでも、コンプレックスはあるだろうし。

吉川 コンプレックスって、絶対良いところに直結しているから。それを発見するには、自分の嫌なところを箇条書きにして、第三者の視点でもう一度見直してみるんです。嫌なところを良いところに置き換えたらどうなるかチェックしてみる。口が小さいなら、おちょぼ口で可愛い!、目が小さいなら、つぶらでくりくしてる!とか。自分の特徴は何だろうと思ったら、それぞれの特徴を足し算して研究してみる。そしたら誰も持ってないようなとんでもない魅力を発見したりしてもっと自分を楽しめるのでは。

兵庫 それはいいですね! 全部完璧で、どのパーツも好きで、内面も全部OKっていう人はいないから。

吉川 馬鹿馬鹿しいと言われるかもしれませんが、いいと思ったら褒めてあげるって、すごく大切だと思うんです。それで意外と人は変わる。

兵庫 本当にその通りですね。女優さんでも、どんどん魅力的になる方は、そういうことなのかもしれません。認められるというのは、自信につながるはず。

健やかに年齢を重ねるための必需品

吉川 美容のプロである兵庫さんの愛用品を教えていただけますか?

兵庫 100歳まで長生き構想があるので(笑)、インナービューティにはこだわっています。『美的』から著書を刊行したことで親しくなった中医学の先生が開設するクリニック「BHY」が処方する「臓美茶」は、季節に合わせたハーブを漢方の原理でコールドプレスしているお茶で、1日1包飲んでいます。2カ月に1回のペースでクリニックにも通っていて、ホリスティック医学をベースにした五臓の力を活かすための施術で免疫力が高まり、体の巡りが整います。

兵庫 ビタミンCのサプリ「Lypo-C」は、毎朝1包飲んでいます。花粉症ケア、風邪予防、紫外線対策、肌のくすみ払拭に効果を感じます。リポソーム化されたビタミンC「リポカプセル」なので、体内への吸収力が高いところが、この製品の特徴。うっかり日焼けや、風邪の初期症状など、ピンチのときには2~3包、飲む量を増やして切り抜けているお守り的な存在です。

兵庫 バンフォードの「ピローミスト」は、ラベンダー、マジョラム、フランキンセンスがブレンドされた心落ち着く香り。枕にシュッとひと吹きしてから眠りにつくのが習慣です。寝付きが良く、眠りも深い方なのですが、このピローミストを使い出してから、疲れが抜けやすくなった気がします。

兵庫 ケラスターゼの「アドジュネス」は、洗い流さないスカルプ・ヘアトリートメントですが、私はもっぱらシャンプー後の頭皮ケアとして使っています。お風呂上がりに、額の生え際や耳の横、頭頂部を中心に、頭皮につけてマッサージ。体が温まっているところに相乗効果で血行が良くなって、頭皮がほぐれやすくなります。長年お世話になっているヘアサロンの方から「白髪予防にも効く」とおすすめされたのも、欠かさず使っている理由です。

兵庫 リファ」の中でも、もう2年近く愛用しているのがこちらのカッサタイプ。フェイスラインのたるみが気になっているので、毎朝のルーティンにしています。あご、法令線、頬、額を中心につまみ上げたり、流したりのプロセスで、細かい部分にも行き届くところが気に入っています。

これから先、たとえリモートワークの時代になろうとも、人と会ったり、交わったりすることはなくならないですよね。その時に、自分のことを好きでいられて、自分を肯定できるように支えてくれる美容であって欲しいと思います。20歳の時と同じというのはありえないけれど、年齢を重ねて「この顔は人には見せたくない」とネガティブにならないように、せっせとお手入れしています。

Photos / Interview : Yasuo Yoshikawa
Text : Tomomi Suzuki
撮影協力:ミカフェート 一ツ橋店

取材を終えて

After the interview

兵庫さんを知ったのはCHICCAが始まる頃だからもう15年くらい。
その間、時間はあっという間に経ってしまい、僕も60歳を超えてしまいました。この調子なら100歳までもあっという間かもしれません。

誰もが歳をとる。どうとっていくか? それこそが美容のテーマの本質なのかなあって兵庫さんと話していて感じました。
でもそれは、エイジングという大人の美容のジャンルの話ではなくって、どう生きるか?ということだから、全ての世代の女性に問われるのかな。
僕流に言い換えてしまったら、どう心地よく自分の人生を過ごしていくのか?

美容に長く携わる経験の中であらゆる美容の知識に触れた兵庫さんのような女性がそれらをどう使ってどう生きていくのか? それは全ての世代の女性のインスピレーションになっていくのでしょうね。

 

吉川康雄