from Japan

おしゃれは人生の彩り

のどか ブロガー・イラストレーター

▼Profile

のどか(NODOKA)       ブロガー・イラストレーター

Amebaトップブロガー。広告代理店にデザイナーとして勤務したのち、結婚を機に専業主婦に。子育て中にはじめたアパレルでのアルバイト勤務をきっかけにプチプラコーディネートに目覚め、ブログ「nodoka’s Diary」をスタート。

自身の写真とイラストを織り交ぜた“お金をかけない、完璧じゃない”記事が人気を集め、2018年には著書『正直、服はめんどくさいけれどおしゃれに見せたい』(ダイヤモンド社刊)を出版。

おしゃれが最上級じゃなくてもいい

吉川康雄 はじめまして! のどかさんは、僕の本『生まれつき美人に見せる』を編集してくださった書籍編集者の中野亜海さんに紹介していただいたのですが、アメブロのトップブロガーでもあるのどかさんの著書『正直、服はめんどくさいけどおしゃれに見せたい』っていうタイトルって、ある意味、多くの女性の心をズバッと言い当てているなあって感じました。中野さんが手掛けられたそうですね。

美容でいうなら“食べながらきれいに痩せる”みたいに人を惹きつけるものを感じますよね。そういう視点がブログにも表れているから人気が出るんでしょうね。

ブログはいつ頃から書き始めたんですか?

のどか 2011年の2月から始めました。プチプラでのおしゃれなコーディネートをテーマにしたブログを書いているのですが、当時はそういうジャンルのブログが少なかったので、知名度が得られたっていうのはありますね。

吉川 いまフォロワーはどのくらいですか?

のどか 3万5000人くらいです

吉川 それは、ツイッターとかインスタの3万5000人とは全然違うでしょ?

のどか 中野さんは、だいたい3倍くらいの重さがあるとおっしゃっていました。

本を出したときに、ブログの読者が3万人ぐらいいると、コアなファンが多いから買ってくださる方も多いけれど、インスタグラマーさんは、その3倍くらいのフォロワーがいないと、なかなか本まで買ってくれないと。たぶん、情報量の差なのかもしれませんけど。

吉川 僕がインスタを真面目に始めたのが一昨年の秋かな? ツイッターはもう4年くらい経つけど、なかなか思ったようにフォロワーは増えない難しいものですよね。

のどか 私の場合、ブログには必ず1つは有益なことを書くようにしているんです。

たとえば今日のコーディネートなら「下を長めのパンツにすることで足が長く見えるよ」とか。せっかく見に来てくれる方に、なるほどと思ってもらえることを書くように気をつけています。

吉川 洋服って、着方を知っていると知らないとじゃ全然違うと思いますけど、そういう知識はどこで習ったんですか?

のどか すべて独学です。

私はファッションの勉強はしていなくて、ブログをはじめた頃にアパレルでアルバイトをしていたのですが、その時に自分なりに工夫をして身につけました。

吉川 自分でやって気づいてたことのほうが、しっかりと身に付きますよね。

のどか 本を出そうと思った時も、パーソナルスタイリストの方とか、骨格診断アドバイザーの方など、いろんなスペシャリストがいるなかで、自分の強みは何だろうと考えて……。

たどり着いのが、自分は主婦で、面倒くさがりやで、お金があんまりないから、そこを掘り下げてアピールできたらいいなって考えたんです。

吉川 時間も予算もかけられない状況でのコーディネートという感じですよね?

のどか はい。“おしゃれが最上級”とかじゃなくて、自分が心地よく幸せに感じられる着こなしができたら、むしろおしゃれじゃなくてもそれが求めていることなんじゃないかと。

ブログを通じて世の中と繋がれた

吉川 おしゃれは、のどかさんにとってどういう存在ですか?

のどか 自分にとっては、生活をちょっと明るくする彩りです。

もしおしゃれがなかったら、オタクで、引きこもりで、世間とコミットできない(苦笑)。外に出ると疲れてしまうタイプなので、専業主婦になって子供を産んでからも、子供のためにママ友と会ったりするのが苦手で……。

吉川 アパレルでアルバイトするようになったのは、お子さんが産まれた後ですか?

のどか 娘が3歳、下の息子が1歳半の時です。

経済的な理由で働くことになったので、人見知りとか、人が苦手とか言っていられなくて。でも洋服が好きだったので、好きな洋服を着ていられるのは励みになりました。

吉川 そこでいろいろ目覚めたんですね。

のどか バイトをはじめて、ブログもちょっとしてはじまりました。

吉川 のどかさんのブログには写真の他にイラストも出てきますよね

のどか 専門学校でイラストを学んでいたのですが、ある時、読者の方から「メンズのコーディネートも教えて欲しい」というリクエストが来まして。メンズは着られないので、それなら絵を描こうというのがきっかけでイラストもアップするようになりました。

丸の内や銀座で見かけたおしゃれな方を描いていたら、それが面白いねとなって。ずっと描き続けていたら、最終的にイラストも上達したんです(笑)。

吉川 メンズのイラストからどうしてレディースも?

のどか レディースは、自分が着られる洋服は自分の写真をアップしていたので、それ以外の、小柄さんとか、身長が高い方とか、自分の体型とは違うものをイラストにしはじめたんです。

吉川 そういう人たちはどうやって描くんですか? 大きい人が何を着たらいいかを自分で想像するのは難しくないですか?

のどか これはたぶん私の特性なんですけど、歩いているひとを無意識に見ているんです。

例えば、ひとの骨格の大きさは、モデルさんじゃない限りそれほど変わらないですよね。

小柄なひとも頭の大きさは変わらないから、背が高いひとに比べて頭が大きく見えてしまう。

その反対に、背が高いと頭は小さく見えるけれど、その分手足が大きくゴツく見えるとか……。

そういうのを歩いているうちに無意識のうちに観察していて。

それなら、そういうところを隠すようなコーデだったらバランスよく見えるのかな? とかいうふうにいつも考えながら歩いているから。

吉川 のどかさんのブログはイラストがパッと目に入ってくるけれど、いちばん大事なのは、ひとの見方なんですね。

のどか そうですね。いろんな人を見ていると目が離せないっていうか、気になってしょうがないです。

吉川 それってもう引きこもりにはなれないですよね?外に出なきゃいけないから。

のどか 確かに。読者の方に質問されるたびに“街に出てもっと知りたい!”と思うようになったのかもしれません。パーティーも苦手だったんですけど、ある時から、パーティーに呼んでいただけるのもブログの読者のおかげだ!と思って出るようにしたら、パーティーに出ている方の服装を見ても勉強になったりして…

私なんかと思わず、肯定する

吉川 外に出るようになって、ファッションだけではなくて、ヘアやメイクとかへの興味の広がりはありましたか?

のどか 外面的なこともそうですが、内面的なことで、より自分を見つめ直すことが増えました。引きこもりがちな性格もあって、自己肯定感も低かったのが、パーティやお仕事でたくさんの素敵な方々にお会いするうちに、「どうして彼女たちは素敵なんだろう?」と考えたり、「こういう時にこういうふうにされるとうれしいな」というのを経験するうちに、自分は自分が嫌いだと思っていたけれど、それは努力をしない言い訳なんじゃないかと思うようになったんです。素敵だと思える人にもっと近づけるように、自分も自分を肯定しようって。

吉川 自己肯定感が低い人って、メイクでもすごく入り込んでそのコンプレックスを上手に隠したりできるようになる人って多いんですよ。のどかさんのお話しってそういうことを連想させられますね。でもメイクがいくら上手になっても、いつもお化粧しているわけにはいかないから、どこかの時点で自分を見つめ直して肯定できないと苦しくなるよね。

のどか そうなんです。だから私なんかとか思わずに、肯定する。

吉川 のどかさんから見て素敵な人たちっていうのは、何が素敵だって思ったんですか?

のどか 優しさと包容力ですね。

吉川 それはそのひとが自分に対しての?

のどか 自分以外にもです。

数年前に本を作る打ち合わせで編集者の中野さんにお会いした時に、その時は今よりもっと喋るのが下手だったんですけど、私が何となく考えていることを彼女がどんどん掘り下げてくださって。うまく説明できなかったので、もうこのお話しは終わりだと思ったのですが、その時の中野さんは「今は言葉足らずなところがあるけど、それはこういうふうに突き詰めていきましょう」「考えがまとまったらもう一回話し合いましょう」とチャンスをくださって、それがあったから本を出版することができました。

吉川 優しさと包容力を感じる出会いですね。

のどか 自分がやっていることを言語化できる人にお会いすることによって、自分が何を考えているかを意識できるようになりました。

吉川 人に伝えるために言葉にすると、自分がふわっと感じてきたことも、はっきりしますよね。

のどか もともとオタク気質のこだわりだけだったのが、人に認められて、アウトプットすることでいまに結びついたし、自分の人生に対する捉え方が前向きになりました。

セルフケアで自分を可愛がる

吉川 いま44歳とお聞きしましたが、自分の肉体も変化するなかで、ファッションだけではキレイになれないと思うのですが、自分自身をどうケアしているのかについて教えてもらえますか?

のどか 子供もいて、家事もしますけど、1日の中で必ず自分だけの時間を取るようにしています。お風呂でヘッドマッサージをするとか、クリームをいっぱい塗るとか、ペディキュアを直すとか、本当に些細なことですが。ジムにも行っています。

吉川 そうやって自分に必要なケアをして、可愛がってあげているんですね。

のどか 子供も13歳と10歳になったので、今まで子供に目を向けていた時間を、少しずつうまく自分のセルフケアに使うようにしています。

たとえば手や唇のような動かすところがカサつくと気になるので、ハンドクリームとリップクリームはいつでもどこでもつけられるように各部屋に置いておくとか。

よく使うものだし大好きだから、いろんなものをトライしています。その結果、好きなもののバリエーションがどんどん増えています(笑)。

「ラシャスリップスのリップ美容液」は、コラーゲンとヒアルロン酸が入っていて、塗ると唇がぷっくりとする感じが好きですし、「ディオール アディクト リップ グロウ」は、唇の色がワントーン明るくなるので気に入っています。

それぞれ違うので、その時の気分で使い分けたりして…。

香りで愛用しているのは「ジョー マローン 」のコロンです。香水では酔ってしまうこともあるのですが、コロンなのでさりげなく香るから使いやすいです。

どれも友達から紹介されたりプレゼントから始まったり……。

でもそういうのって、かたまりがちな自分の好みを良い意味で広げてくれるし、いつも新しい発見があるから楽しく、そしてありがたく友達との情報交換に参加させてもらっています。

吉川 引きこもりがちだったのが、すごい変化ですよね。

ハンドクリームは、アパレルで働いている時、みんな手が乾燥するから(笑)必要だったし、そういう知識が増えることで、自分をよりいたわれるようになったなあって感じます。

こういうことは人との交流が増えたから出来ること。

人が苦手とかって自分を甘やかしていたらきっと今みたいにはなれなかったから、いろんなことに感謝してるんです。

Photos / Interview :  Yasuo Yoshikawa

Text : Tomomi Suzuki

取材を終えて

After the interview

のどかさんの取材をさせてもらって、つい考えてしまったのは今までの自分のことです。

僕ももともと人との会話が苦手だったから、いつも技術のオタクになりがちでした。

でもある時、自分の技術を人に伝えようとした時に、上手な言葉で伝えられなくても、自分なりの言葉でいいんだって思えるようになったのですが、のどかさんの自分の考えを自分の方法で世の中に伝えたというお話しや、だから世間とコミットできたというのを聞いて、もう一度教わったような感覚になりました。

吉川康雄