from Japan

ライフスタイルが私にとってのビューティー

猪狩幸子 ビューティーエディター

▼Profile

猪狩幸子 Sachiko Igari

ビューティ・エディター 『BEAUTY DEPT』編集長

大学卒業後、約12年間、『VOGUE JAPAN』(コンデナスト・ジャパン)で、コントリビューティング・ビューティ・エディターを務めた後、独立。2018年2月、Instagramで「BEAUTY DEPT」をスタート。プロが発信する信頼できる記事と、女性たちのリアルなビューティ情報を届けるべく、日々、邁進中。www.sachikoigari.com

マイスタイル

この仕事についたのは、小さい頃から化粧品が大好きだったとかいう類の理由ではありません。

VogueUSAのあるファッションストーリーのクリエイティブなビジュアルに衝撃を受けたのが、編集者という仕事を始めたいというきっかけとなり、その時感じたクリエイティブなビジュアルを作ることを楽しみたいという気持ちで、今に至りました。元々ファッションやビューティーに対して垣根ないビジュアルからの興味でしたから、ビューティーを考えるときは、“顔だけでは完結しない”ということがいつもベースにあります。

et Rouge No.20 (2019年3月)

ビューティーが全てなのではなく、その人のトータルスタイルの一部分に過ぎないということ。ビューティーはファッションとつながることでより美しいし、ライフスタイル、環境と合わさることで、より気持ち良くなる。

こんな調子なので、自分の部屋にも化粧品ばかりがたくさんあるという感じではありません。

マイペース

フリーランスとしてこの仕事をやってきているので、どんどんこの場所で仕事をすることが多くなってきました。日常生活と仕事との境界がほぼなくなってきているといっていいでしょう。

クリエイティブをするときは、その空間が大切だと思っています。

そして今はその場所で寝て、起きて、食べる。

ここは、自分自身という感じ。

だから自分のスタイルで居心地よくすることにこだわります。

好きなものしか置きたくない。

朝この部屋に入る自然光は心地よいし、

カーテンに映し出されるプラントの影も好き。

だけど、もっともっと植物が欲しいな。

香り

自分の願いの全てが得られるものではないですが、

大切にしているものがあります。

それは香り。

いわゆる女性的なお花のような香りより、森やグリーンを感じるウッディーな香りが好き。

小さい時から自然の多いところで育ったからかしら。

いつもキャンドルは焚いています。

それで落ち着くんですね。

今日はPerfumer H(Lyn Harris)のMint teaというキャンドル。ミントの葉、ローズマリー、ラヴェンダーと森の香りが合わさった、静かな香りです。

フレグランスの最近のお気に入りはFREDERIC MALLE。香りはもちろんですが、トラベル用のスプレイ容器のデザインは美しく、持っていても気分が上がるから。

Photos: Kazufumi Shimoyashiki

インタビュー・文 : Yasuo Yoshikawa

取材を終えて

After the interview

猪狩さんとはここ数年、ずっとCHICCAのビジュアルを一緒に作ってきたのですが、いつもお会いすると、メイクが!とかヘアーが!とか思わせないでトータルでおしゃれを感じさせてくれるファッションエディター的ルックの方なんです。

だから仕事の時もビューティーエディターなのにいつもかなりファッション的な視点。

作り手も受け手も美容オタクになりがちななかで、これから進んでいくべき美容を感じさせてくれる人だなあっていつも思っていました。

今回の取材は彼女の自宅兼オフィスで。

ドアを開けたらほんのりといい香りを感じました。絶妙にデリケートなアロマ。

案の定、部屋中コスメにあふれている感じは全くなく、お洒落なインテリアとともにある居心地の良い空間でした。お話を聞いてやっぱりこのトータル感かって納得した次第です。

吉川康雄