手をかける子育ての終わりが少し見えてきた
吉川康雄 3人のお子さんがいらっしゃると聞きましたが、おいくつですか?
吉岡美穂 12歳の男の子と11歳の女の子、9歳の男の子です。27歳で1人目を産んで、30歳ぴったりで3人目を産みました。
吉川 仕事が早いですね(笑)。
吉岡 続けてじゃないと、絶対に兄弟をつくれないと思ったんです。
吉川 真面目に“お母さん”をやっていそうですね。
吉岡 真面目すぎたかもしれませんけど。私の場合は、子供を産んでから“新キャラ”が出てきた感じで(笑)。
私のお仕事は不規則な職種ですし、自由人なので生活リズムも規則正しいとは言えない生活だったんですけど、子供を育てるにはちゃんとしなくちゃいけないと思って。子育て中は頑張るぞ!っと産む前に決めたんです。
でも毎日子供達のペースでノンストップな日々を過ごしていると、皆が寝静まった後にやっと自分に目を向けられるっていう感じなので、その時間はとっても大切にしてきました。そんな時、香りってすごく気分転換になるので、このHerban essentials Lavender toweletteの封を開けてまずは深呼吸。すごく癒してくれるんですよ。
吉岡 それからは、ほんのちょっとだけですけど私のスキンケアタイムが始まるんです。
やっぱり自分を大切にお手入れすることで、ちょっと充実した気持ちになれる。リフレッシュしてまた新たな気持ちで物事を進めて行けるんです。
そんなに凝ったことは出来ないですけど、このマルティナ アイケアクリームもちょっとお気に入りで、夜つけたてはしっとりとした感触があって朝になると目元がモチッとしているから肌がリセットされた気分になれます。
吉川 僕は女の子が一人だけいますけど、それでも“大変!”って思ってきました。だから3人なんて想像もつきません。ごめんなさい。でもすごく相当頑張っているのを感じます。その“キャラ”はいつ頃まで続けるんですか?
吉岡 下の子が4年生になったのでそろそろ自分のやりたい事を生活に取り入れていきたいなって思っています。とはいえ、3人いると忙しいので、ママ業が8で、自分が2くらいの比率じゃないとまだ回らない感じです。
吉川 ちょっとずつ自分らしいペースに戻している感じですかね。
ずっと子供のために……、なんてのはちょっとね……。自分を大切に考えていかないと。
吉岡 そうですね。
自分が自分のことを好きでいないと、「お母さん可愛い」とか「素敵!」なんて子供も思ってくれないですよね。
吉川 自分を大切に生きる女性って、子供だけじゃなく、ボクから見ても魅力的ですよ(笑)!
吉岡 最近は、子供たちが学校に行っている間は自分の時間を取れるようになってきたので、充電じゃないけれど“次どうしようかな?”って、ちょっと立ち止まって考え始める時間もできてきましたし。
吉川 ポーンとはじける直前ですね!
吉岡 よーし、いくぞー! みたいな(笑) 。
このあと、どういう人生送ろうかな? 何しようかな?ってワクワクするんです。
久しぶりの撮影で感じた自分らしさと新しい自分
吉川 ところで今日の取材は、縁側や和のロケーションで撮影しましたが、吉岡さんは昔の日本画に出てくるみたいな和顔だからそういう雰囲気が似合いますよね。
吉岡 あんまり洋な雰囲気が似合わなくて……。
今までの写真集でもそういうイメージの写真がありました。生え際も和っぽいし 顔的にも彫りが深いわけではないので。
吉川 でもそういうクラシックな和風の女性の印象って、ちょっと粉っぽいメイクで“おしとやか”みたいな感じって多いですよね。
普段お化粧するときは、どんなファンデーションを使っているんですか?
吉岡 リキッドファンデーションとパウダーです。
吉川 リキッドファンデの上に粉をはたいてマットにすると、化粧崩れしませんか? しばらくするとテカってくるからまたパウダーをはたいたり。
そうすると、常に顔の表面が乾燥状態になるから、肌は保湿のために脂を出そうとし続ける。それでまた崩れるという悪循環。
吉岡 本当に!? お粉をはたかないほうがいいんですか?
吉川 脂を出し続けるというのは、脂腺の働きが活発になるということ。
脂腺は毛穴の中にあるので、それが活性化すると毛穴を広げてしまうんじゃないかなって僕は思うんです。だからメイク崩れする場所、つまり粉をはたく場所ほど毛穴が目立っていませんか?
今日は僕がメイクをさせてもらいましたが、マットで“おしとやかな感じ”にする代わりに、もっと生き生きとした肌感、例えばちょっと暑くて汗ばんでいるくらいの健康的な色気を和に重ねるイメージで、オイルで出来たファンデでツヤッツヤの肌にしたのですが、これだけ油分を与えると肌は逆に脂を出さなくなりますよ。
吉岡 なるほど! 今度自分でも試してみたいです。艶があると健康的にも見えますね。
吉川 今までとちょっと違うお化粧も新鮮でしょう?
吉岡 お化粧もそうですが、今日は久しぶりの撮影だったので、とにかく久しぶりの感覚。
ちょっと緊張もしつつ……。でも、吉川さんが、なごませてくださる雰囲気なので良かったです。やっぱりこういうことって楽しいですね。
自分らしさを改めて考えさせられたり、ちょっと新しい自分を見つけたり。
自分を諦めないことが大事!
吉川 吉岡さんがタレントとしてコンスタントにやっていた頃は、自分の持っている個性に向き合っていろいろ考えていたんでしょうね。
吉岡 そうですね。こういうお仕事をしていると、あまりに変わりすぎると周りがついて来られないから、イメージを保たなきゃいけなかったりしますし。
仕上がった自分の写真を見ては「こんな風に見えるんだな。」とか「こんな風に変わるんだ。」なんていつも考えさせられました。
だから「メイクで変身したい!」なんて考えるよりも、例えば口紅でも元々の自分の色?みたいなくらいに馴染むものとかにずっと興味があって……。
愛用カラーはAlimaというブランドの pure Lip tint“デイジー”っていう一見赤みの強いピンク。つけると赤みが程よく残って自然に染まる感じの仕上がりで、私の唇にいい感じの血色を与えてくれるんです。
このブランドは肌に優しいというこだわりで作られているアメリカの化粧品で、つけても唇が荒れないので気に入って使っています。
吉川 もう自分をホルマリン漬けにでもして、個性の研究をしてる感じですね(笑)。でも、いい仕事だと思いませんか? 芸能界の仕事が女性にとってすごくいいなって思う理由が僕にはあって……。
キレイな人が多いでしょ? なぜかというと、みんな必死に自分のキレイさについて考えるからだと思うんです。普通の人たちは他の人に憧れて自分を否定しがちだけれど、芸能の仕事では他の人に憧れたり自分を否定していたらやっていられない。
吉岡 そうですね。そう思います。
自分のことが嫌いな人に、周りの人は、興味を持ったり憧れたりしないですよね。
吉川 人が一生のような長いスパンでキレイだったり魅力的でいられるかどうかは、結局のところ、エイジングがどうこうではなく、自分次第だと思うんです。歳を重ねて変化していく自分のなかに魅力を見つけ出していけるか、素敵と思えなくなってしまうかって。
吉岡 子育てが忙しいと、つい自分のことがおろそかになってしまい年齢のことも感じたりしますけど、いつまでも女性としての気持ちこそが大切なんじゃないかって思います。
吉川 大人になるほど、目にあらわれるキラキラとか、その奥の内面を見てしまいますよね。
吉岡 10年、20年先も女性としてキレイでいたいし、気持ちのアップダウンはあると思うけれど、ワクワクドキドキする楽しいって思う気持ちを忘れずに、自分で自分をコントロールできたらいいですね。
見守ってこそ、人は育つ
吉岡 これから先のこともですけど、こうして年齢を重ねていろんなことを経験すると、嬉しいことや悲しいことや、色んなことがあるんだなって、しみじみすることが多くて。
吉川さんには今日初めてお会いしましたけれど、物事をニュートラルに見られていて、そういう“揺れ”をあまり感じないのですが。
吉川 人の話しや物事をあまり否定しないで自分に入れるようにしているんです。「ああ、そういうのってありかもね」って。
吉岡 否定されるのは悲しいことですよね。望んでいる所に行こうとしている時に、それは違うとか、ダメとか、こっちじゃないの、なんてね。自分がそうされるのが嫌いだからこそ、子供に対してそう発言した瞬間、気づくこともありますが……。
吉川 心配な気持ちから始まるにしても、ダメや否定を言い合うような関係が続いてそれが最悪になると、相手を無視するようになってしまいますよね。それが一番心が離れちゃいますよね。
吉岡 無視したりされたりする前に気がつかないとって思います。
大切な人についダメとか言う代わりに我慢して見守るってすごく大事だなと思うんです。子供には自分の考えの多くは望まずに、行きたいところに行くのを見守るのが大切かな。
この子は、どういうところが一番居心地がいいんだろうって理解しようとするくらいかな、やってあげられることは。
吉川 その人の人生で必要なのは他の人の意見じゃなくって自分の考えですもんね。
アメリカでは運転免許を取るときにバックミラーを見過ぎると教習所で怒られるんです。道を曲がるときもバックミラーで後方確認したら減点されちゃう。何故かというと、それぞれの車が前方をちゃんと確認したら絶対にぶつからないっていう考え。つまり、他人の運転はコントロールできないから、自分の前方だけ目を向けなさい、ということなんですよね。
吉岡 それぞれの人が自分をしっかり持て、ということですよね。人を正そうとして注意するより、そうした方が人とも上手くいくんだと気づけたら……。なんだか子育てにも生きそうな話ですね。
吉川 見守ることの大切さは、子供ができて気づいたことですか?
吉岡 そうですね。自分がいいと思ったことでも、子供にとって良くないことってあるなあと。
例えば、失敗しないようにと先回りして「危ないよ」って忠告しちゃうと、子供には本当はその経験や失敗も必要なのに、何も学びがなかったり……、とか。
吉川 そうゆう気づきで人ってより魅力的になりますよね。
そんな女性たちが子育てを終えた時、現役の女じゃないみたいに思い込んでしまいがちだとしたら、あまりにも悲しい。もしかしたら前より魅力的かもしれないのに。どこかで自分のことを、「あ、私こんな年になっちゃったし。おっぱいも垂れてきたし」って卑下したり。でも垂れたっていいわけで。
吉岡 それはいいって言えば、よく見えてくるんですよね。これが可愛いって言えば(笑)。どうにもできないことって沢山あるから、その中で自分の魅力を見つけて認めてあげるって大切。
吉川 じゃないとだれだって「私はダメ」ってすぐに落ち込んじゃうんじゃないかな。
吉岡 自分がダメって思ったところを他人の中にも見つけた時についそのことを話しちゃったり。そうなってしまうと他人まで傷つけてしまうから悲しいですよね。
人生はすごく長いけど、楽しく過ごしたいから、思うようにいかないことや辛いことがあっても、「大変だけど、これどうやって乗り切る?」って、それすら楽しみに変えられる自分でいれるようになっていきたいですよね。
Photos / Interview : Yasuo Yoshikawa
Text : Tomomi Suzuki