新しい日本茶の楽しみ方を追求

櫻井焙茶研究所

▼Profile

櫻井真也 SHINYA SAKURAI

櫻井焙茶研究所 代表取締役。和食料理店「八雲茶寮」、和菓⼦店「HIGASHIYA」のマネージャーを経て2014 年独立、東京・南青山に日本茶専⾨店「櫻井焙茶研究所」を開設。「ロースト」と「ブレンド」を基とし、各地より厳選した日本茶をはじめ、店内でローストした焙じ茶や、国産の自然素材を組み合わせた四季折々のブレンド茶を販売。併設の茶房では、玉露や炒りたての焙じ茶など、同所ならではのお茶のコースや茶酒などを和菓子とともに愉しめる。

櫻井焙茶研究所
住所:東京都港区南青山5-6-23 スパイラルビル 5F
電話番号:03-6451-1539
営業時間:売店11:00〜20:00、茶房11:00~22:00(L.O. 21:30)
定休日:無休
公式サイト:https://www.sakurai-tea.jp/
オンラインショップ:https://sakurai-tea.shop/

withコロナの時代、ままならない日常の中でイライラが募り、モヤモヤを抱えている人も多いのでは。そんなとき、リフレッシュのために足を運んでほしい2軒のお茶処をご紹介します。

1軒目は、表参道の「櫻井焙茶(ばいさ)研究所」。

日本茶の多彩な魅力を発信

表参道のスパイラルビルの一角、ガラス扉の向こうにひっそりと佇む「櫻井焙茶研究所」。外の喧騒を忘れるほど静謐な空気が漂う店内では、店主の櫻井真也さんが全国各地の生産地に足を運び、みずからセレクトした日本茶を販売しているほか、併設の茶房でお茶やお茶菓子、お酒を楽しむこともできます。お茶を炒るための焙煎機も置かれ、炒りたての焙じ茶をその奥深い香りや風味とともに味わえるのも魅力。

四季を感じるブレンド茶を提案

煎茶や焙じ茶だけでなく、日本茶をベースに四季折々の国産フルーツやハーブを組み合わせたオリジナルブレンド茶も充実しています。「日本茶でも季節感を感じてもらいたい」との思いから、春には木ノ実やふきのとう、秋には梨や柿をフリーズドライにしたものなど、24節気の暦に合わせた自然素材を日本茶とブレンド。茶葉に香りづけするフレーバードティーとは異なるアプローチで、日本茶の新しい楽しみ方を提案しています。実は店主の櫻井さんはバーテンダー出身。さまざまな素材を調合してきた経験が、ブレンド茶の創作でも役立っていると言います。

日常を忘れるピースフルな空間

黒を基調に随所に銅を取り入れた空間は、にじり口のような小さめのドアや低めの天井、つくばいを思わせる水のしつらえなど、さながら茶室のような雰囲気。クラシカルとモダンが融合したインテリアや、落ち着きのあるライティングも絶妙で、あまりの居心地のよさに時間を忘れてしまいそうになります。

「忙しい日々の中で、ここに来ることでほんの少しでも現実から離れてリフレッシュして、何かを発見して帰ってもらえれば」と話す櫻井さん。昼夜を問わず、一人でふらっと立ち寄るゲストも多いそう。一日を通じてお茶とお酒の両方が味わえるので、お酒を嗜む人もそうでない人も、それぞれにとっての“おいしい時間”を共有できるのも、このお店ならでは。

一杯のお茶がもたらす心の安らぎ

白衣に身を包んだスタッフがお茶を淹れる所作も美しく、その姿には思わず見入ってしまいます。「誰かに淹れてもらったお茶はおいしいですよね。私もスタッフも、お茶を淹れるときは相手のことを思いながら淹れるように気を配っています」と櫻井さん。そんな心のこもったお茶をいただく時間はなんとも贅沢なもの。

とはいえこのコロナ禍、お店に足を運ぶのが難しいという人のために、煎茶や自家焙煎の焙じ茶、季節のブレンド茶などが購入できるオンラインストアもオープンしたそうです。自分や大切な人のために、一杯のお茶を丹精込めて淹れる――。そんなひとときを過ごすことで、自分自身とも向き合ってみてはいかがでしょうか。

 

Photos / Interview :  Yasuo Yoshikawa

Text :  Tomomi Suzuki

取材を終えて

After the interview

とっても美しくて美味しい栗おこわのランチをいただきました。

薄暗い店内に午後のやわらかい光が背中から差し込んで、飲み物や食べ物を美しく照らします。
思わず写真を撮ってしまいました。

ふととなりを見ると、外国の女性のお客様がひとりで、櫻井さんが美しくプレゼンテーションされたお酒とおつまみを楽しんでいます。

取材で撮った写真を編集していて改めて感じたのは、その道具一つ一つの美しさとこだわり。
でも、ただ美しいものをそろえているのでなく、店内の美しく調整した光と心地よい静けさで作り出す空間でここに来る人たちにユニバーサルな安らぎを感じさせてくれるのだと思いました。
ここは自分の時間を楽しめます。一緒に誰かと来るなら大切なひとを誘ってみてはどうでしょうか?

 

吉川康雄